• 足立 直樹
  • コラム
  • 公開日:2016.09.21
  • 最終更新日: 2025.03.02
第3回: コカ・コーラがいま本当に提供しようとしているものとは?

    足立 直樹 (あだち・なおき)

    こんにちは、サステナブルビジネス・プロデューサーの足立直樹です。第3回の今回は、世界でもっとも有名なブランドを取り上げたいと思います。

    世界的に有名なブランドと言うと、あなたはどんなブランドを思い浮かべるでしょうか?いろいろな調査がありますが、間違いなく上位に入るブランドの一つはコカ・コーラでしょう。

    例えばフォーブスの「世界のもっとも価値のあるブランド」ランキングの2016年版においては、アップル、グーグル、マイクロソフトという今をときめくIT関係のブランドに続いて堂々の第4位です。このランキングはブランド価値を経済評価しているのですが、そこで4位というのはすごいことですね。

    しかも、ブランド価値が高いと言っても、コカ・コーラが販売する商品の価格はけっして高くはありません。1本100円とか、1ドルとか、誰にでも手が届きます。だからこそ、世界中で誰もが知っているブランドなのですね。知名度だけでいえば、世界ナンバーワンブランドと言っても過言ではないでしょう。

    ではそのコカ・コーラには、一体どのようなブランド・イメージがあるのでしょうか。まず、コカ・コーラが清涼飲料水のブランド=名前であるということは誰もが知っているでしょう。最近は清涼飲料水以外にも様々な飲料を販売しています。

    日本では日本茶など、それぞれの地域に独自の飲料に力を入れているそうです。しかし、かつての「スカッとさわやかコカ・コーラ」というCMのキャッチコピーもあり、やはり清涼飲料のイメージが強いかもしれませんね。

    しかし今や多くのブランドがそうであるように、コカ・コーラ社も自分たちが売っているのは単なる清涼飲料水や商品ではなく、経験を提供しているのだと考えているようです。では、それは一体どんな経験なのでしょうか?

    実は、現在のコカ・コーラ社のミッション(使命)は、「世界中にさわやかさをお届けすること」、「前向きでハッピーな気持ちを味わえるひとときをもたらすこと」、「価値を生み出し前向きな変化をもたらすこと」の3つだそうです。すなわち、提供しているのは単に爽やかな清涼飲料水ではなく、ハッピーな気持ちを感じられるひとときだということですね。

    そしてこのことを、最近はCMやインターネットの映像などでもしきりにアピールしています。以下に紹介する映像をまずご覧ください。

    この映像は、主に宗教の違いが原因で長年にわたって対立が続いているインドとパキスタンで同時に行なったOpen happinessというプロジェクトを記録したものです。

    インドのニューデリーとパキスタンのラホールのショッピングモールに設置されたコカ・コーラの自動販売機は、その前にいる人がお互いに映るようになっていたのです。そして、画面に出される指示にしたがってお互いが同じことをすると、コカ・コーラが出てくる仕組みなのですね。

    この自動販売機を通じてインドの人々の姿を見たパキスタンの若者は、「もしチャンスがあったら、絶対にインドに行くよ」と断言します。「自分たちがどれだけ違うかより、どれだけ同じかってことだよ」

    同じ清涼飲料水を飲んで、同じように生活を楽しんでいる。違う点もあるかもしれないけれど、同じことだってたくさんあるんだ。そのことに気がついてもらおうというプロジェクトは、両国の人々に大きな気付きと希望を与えたのではないでしょうか。

    自動販売機を使ったもう一つの別のプロジェクトもご紹介しましょう。Hello happinessと書かれたコカ・コーラの自動販売機のようなものに、ヘルメットを被った人たちが並んでいますが、一体これは何なのでしょう?渇いた喉を潤すために、コカ・コーラの自動販売機に並んでいるのでしょうか?

    実はこの男性たちは、ドバイの建設現場で働く外国人労働者です。コカ・コーラが作ったこのブースを使うと、コカ・コーラのボトルキャップ1個で、故国の家族に3分間電話がかけられるのだそうです。

    たった3分間なんて思わないでくださいね。この方々の日給は6ドル程度、しかし国際電話は1分間1ドル近くするのだそうです。つまり、3分間家族に電話をしたら、一日の稼ぎの半分が吹っ飛んでしまうのです。普通だったら家族に電話なんてしたくても、できないでしょう。

    ですから、ボトルキャップだけで3分間電話ができるなんて、どれほど嬉しいことか!彼らの嬉しそうな表情を見ていると、自分まで嬉しい気持ちになってきませんか?

    「前向きでハッピーな気持ちを味わえるひとときをもたらすこと」、コカ・コーラはたしかにそのミッションを果たしているように思います。

    でも…これのどこがサステナブルなの?そう思ったかもしれませんね。それについてはまた別の映像を使いながら説明したいと思うのですが、だいぶ話が長くなってしまいました。ですので、この続きは次回に!

    written by

    足立 直樹 (あだち・なおき)

    サステナブル・ブランド国際会議 サステナビリティ・プロデューサー 株式会社レスポンスアビリティ代表取締役

    一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブ理事・事務局長。東京大学・同大学院で生態学を学び、博士(理学)。国立環境研究所とマレーシア国立森林研究所(FRIM)で熱帯林の研究に従事した後、独立。2006年にレスポンスアビリティを設立し現在に至る。2008年からは企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)事務局長も兼務。

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