G☆Local Eco!
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2016年6月筆者撮影 バイクレーンがはっきりと書かれた住宅地の交差点(サンフランシスコ)
![]() 図表1) 車種別販売台数の推移
引用)警察庁「自転車施策をとりまく環境」 https://www.npa.go.jp/koutsuu/kisei/bicycle/kentoiinkai/01/01jitensha_05siryou02.pdf より |
[G☆Local Eco!第3回(1)]都内ではスポーツサイクルが通勤にも活用されるようになったり、地方でも週末に鮮やかなシャツを着たサイクリストがレジャーとしての自転車を楽しむ姿が見られるようになった。そのスポーツサイクリスト人口は日本でも300万人とも1200万人とも言われるが機関によって数値には差がある。ただ販売台数の推移をみればその市場の成長性は高いのは間違いない。
ややもするとスポーツサイクルは一部マニアの趣味だとも思われがちであるが、オランダをはじめとするヨーロッパの自転車環境の先進国のみならず、自動車大国のアメリカでもこの人口が増えているし、市民が手軽にサイクリングを利用する環境もできている。その背景には何があるのか。
1つには、自転車が健康・安全都市の象徴となっていることである。ニューヨークではブルームバーグ前市長の時代に、交通渋滞解消と排気ガス低減のために自転車利用が進められた。シティバンクの出資による青色のシティバイク(自転車)が2013年に始まり、ブルックリン、マンハッタン、ニュージャージーでは24時間、1週間、1年契約の3種類のパスが販売されている。2015年には1000万回の利用がなされ、2016年の年間契約者は10万人に達した。
サンディエゴはACSM American Fitness Indexによる健康都市を目指している。この指標では、個人健康データとしての運動歴や持病歴から、コミュニティや環境としての環境整備やレクリエーション設備などの状況を調査し、都市間の比較を行っている。このためにサンディエゴでは、自転車専用レーンを拡張し、各所でレンタバイクを始めている。
レンタバイク設備では「健康改善、ゼロエミッション、心臓病や癌予防」がうたわれ、自転車には「TAKE ME FOR A SPIN AROUND TOWN(私を街に連れてって)」等の様々なキャッチコピーが個々に付いている。サステナブルなまちづくりをルールで強いるのではなく、「楽しんでやろう」という雰囲気づくりが行政にも見られるのが、さすがマーケティング大国アメリカである。
ちなみにサステナブル・ブランド国際会議2011のテーマはまさに「PLAY ON(楽しんでやろう)」であった。
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2016年6月筆者撮影 サンディエゴで整備が進むレンタバイク環境
都市の安全性や健康環境をデータで比較し、この先進性を訴えることは、良質な市民や労働者を呼び込み、企業誘致へとつながり、法人税や所得税のアップにもつながる。バイクレーンは道路をペインティングするだけだから、様々な健康・安全政策のなかでも最もコストを安く整備できるのが自転車環境であり、これをデザインよく整備することは安全や健康都市としての視覚的効果も高くなる。
一方、日本に見られる違法駐輪や放置自転車は、都市や駅前のイメージを悪くするし、子供を乗せた親が歩道の人混みを走り抜けるのはとても危険である。日本の都市部においても自転車の安全環境整備は必至といえよう。

青木 茂樹 (あおき・しげき)
サステナブル・ブランド国際会議 アカデミック・プロデューサー 駒澤大学経営学部 市場戦略学科 教授
1997年 慶應義塾大学大学院博士課程単位取得。山梨学院大学商学部教授、 University of Southern California Marshall School 客員研究員、Aalborg University Business School 客員研究員(2022年4月〜2024年3月)などを歴任。 多くの企業の新規事業の立ち上げやブランド構築に携わる。地方創生にも関わり、山梨県産業振興ビジョン策定委員、NPOやまなしサイクルプロジェクト理事長。人財育成として、私立大学情報教育協会FD/ICT活用研究会委員、経産省第1回社会人基礎力大賞を指導。やまなし大使。