![]() いらない洋服をゴミに出す前に回収・リサイクルしてくれる会社を見つけよう Image credit:Magnus D Follow https://www.flickr.com/photos/magnus_d/5193461440/
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年間約100万トンにものぼる日本の衣料品の廃棄量を減らそうと、アパレル各社が衣料引き取りの活動を強化している。ワールドは2009年から衣料品引き取りキャンペーンを行い、今夏までに657万枚の衣料品を回収。リユースして得られた4,924万円を子供たちの育英基金などに寄付した。H&Mも各店で不要になった衣料品を受け付け、その際割引クーポン券を発行するなど、各社は衣料回収に独自の工夫を凝らしている。
ファストファッションの普及などで日本の衣料品の廃棄量は年間約100万トンと膨大だ。ドイツでは7割の衣類がリユースされているが、日本の場合は、逆に7割が焼却処分され、リユース率は18%にとどまる(中小企業基盤整備機構調べ)。こういった状況を変えていこうと、アパレル各社が衣料品回収の活動に力を入れている。
ワールドでは、2009年に経済産業省の「繊維製品リサイクル・モデル事業」への参加をきっかけに衣料品回収をスタートした。しかし、「比較的きれいな衣料品が多く、資源化するのではなく、洋服は洋服のまま活かしたい」と方針を転換し、同社では、2011年からはリユース(再利用)を中心に衣類の回収を進めている。
![]() 「ワールド エコロモキャンペーン」はショッピングセンターで服飾雑貨も回収する
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同社では、春夏と秋冬の年に2回、ショップの店頭約60カ所において、不要な衣料品を引き取り、お客様には割引チケットを発行する「ワールド エコロモキャンペーン」を実施している。引き取った衣料品は、リサイクルパートナーと連携し、国内外での再利用やリサイクルにつなげ、引き取り金は子供たちなどの育英資金として寄付している。これまでに約657万枚の衣料品を回収し、寄付した収益金は総額4,924万円に達した。
同社広報部の脇本昌子さんは衣料品回収を継続するには「お客様、企業、リサイクルパートナーのいずれにも負担がなく、社会貢献もできて経済的にもプラスになる仕組み作りが重要」と話す。「タンスがきれいになり、社会にもお買いものにも役立つ」とシーズン毎に衣料を持ち込むリピーターも多いという。
H&Mも2013年から古着回収活動「CLOSE THE LOOP」を行っている。同社は、ゴミとして捨てられる服や布製品のおよそ95%が無駄に捨てられているという現実に着目した。まだ着ることができる服は古着として販売する「リウェア」、古い服と繊維製品は清掃用の布などの他の製品に加工する「リユース 」、それ以外は繊維にするか、断熱材などの他の用途にまわす「リサイクル」の3つの手法で再利用を進めている。
現在14,000トン以上の衣類が世界中で収集されており、日本では2015年8月までに1,340トンの衣類が回収された。ワールドと同様、他社の製品でも回収し、古着を詰めた1袋につき500円の割引クーポンがもらえる仕組みだ。
箕輪 弥生 (みのわ・やよい)
環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。 著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。JFEJ(日本環境ジャーナリストの会)会員。 http://gogreen.hippy.jp/