• 山岡 仁美
  • コラム
  • 公開日:2016.09.01
  • 最終更新日: 2025.03.02
第3回: 注力したい障がい者の雇用と推進

    山岡 仁美(やまおか・ひとみ)

    ダイバーシティ推進と言っても、女性活躍推進にばかり注力も注目も偏りがちだと以前のコラムも含めと常々提起してきました。多様性を活かすには、ハンディキャップのある人財の力を引き出す仕掛けや機会を創出することが欠かせません。

    王子養護学校の卒業生の働く場所として始まり、のちに、厚労省への宅配や霞が関売店へと販路を広げたスワンベーカリー。
    2011年にはANAグループ(ANAウィングフェローズ・ヴイ王子)となり、今はベーカリーの製造・外販だけではなく、航空関連事業も含め領域を拡大し、様々な障がいを持った方が活躍できる場が設けられています。

    その企業理念の中には、「障がい者雇用を単なるゴールとせず、障がい者が中心となった事業運営を推進し、社員価値・会社価値を最大化します」「社員の自由で柔軟な意見や提案を推奨し、前例や慣習、多数決にこだわらず、スピード感をもって会社運営を行います」などと掲げています。

    企業は誰のためにあるのか

    ANAの篠辺修CEOの経営に対する考えに触れる機会がありました。その時に、「企業は誰のためにあるのか」の問いかけに対し、「企業は社会の公器」と答えれていたのが印象に残っています。

    その観点で、障がいのある人財、ない人財、いずれもお互いが多様性を尊重し許容し、いきいきとやりがいを持って関わり働く。さらにそれにとどまらず組織や会社の力にしていく。それが会社の価値も、個の価値も高めていくことであり、企業としては、社会的責任でもあります。

    ダイバーシティの先進国、アメリカと比較して考えてみましょう。アメリカにおいてのダイバーシティは、1960年代に雇用均等法が成功された頃から始まっています。アメリカでのダイバーシティ施策は、多民族国家であるため、人種、性別といった、その違いがひと目でわかる分野に限定されていました。

    今ではもっと幅広い視野で捉えられており、まさしく「企業戦略」として考えられています。つまり、「多様な人材を取り込み、その人材が能力を最大限に発揮できることにより、企業も社会から正当な評価を受ける」という風土構築をすることが、経営上の重要課題になったのです。

    ダイバーシティ施策は早急に取り組むべき課題

    今、日本では、超少子高齢化を迎え、それに伴う労働人口の減少という、国家でも経験の無い状況に直面しています。労働人口が減少するということは、より人的生産性を上げる必要があります。

    例えば、一人ひとりの従業員が能力を最大限に発揮できる組織のバックアップはもちろん、家事に専念している女性をビジネスパーソンとして活用することや、定年退職者を再雇用することが挙げられます。ほかにも、障がい者や外国人の能力及び労働力を活かすことや、正社員ばかりでなく非正規社員にも権限を与える、など人材を多様化する施策を講じるのは早急に取り組むべき課題といえます。

    言い換えれば、性別・年齢・国籍・雇用形態を問わず、すべての人材が最大限の力を発揮するような環境を提供し、組織の力を高める努力を怠っている企業は、将来の存続が危ういといって過言ではありません。

    多様な障がいにマッチした働き方や事業分野を開拓する、と謳うANAウィングフェローズ・ヴイ王子は、もちろん障がい者雇用だけではなく、そのキャリアパスや研修にも力を入れています。今後、成功事例やロールモデルとして、旗手を振ってくれるのであれば、ANAグループの企業戦略の成功例にもなることでしょう。そしてそれらが、真の社会への寄与を成すことへ、注視していきたいです。

    written by

    山岡 仁美(やまおか・ひとみ)

    グロウス・カンパニー+ 代表取締役

    航空会社勤務を経て、人材派遣会社の研修企画担当に。その後、人材育成への意欲から、大手メーカー系列のコンサルティング会社に移り、人材育成に関する開発・販促・広報などのマネジャー職から企業研修部門の統括部長までを務める。1000社ほどのコンサルに携わった後、独立。ビジネスフィールドの豊富なキャリアで様々な人材や組織づくりと関わり続け、自身の出産・育児との両立での管理職・起業などの経験から、多様性を活かす着眼点が持ち味である。 コンサルタント、研修講師、講演と多方面で活躍中。そのテーマは「課題解決」「リーダーシップ」「アサーション」「ネゴシエーション」「キャリアデザイン」「ダイバーシティ」「リスクマネジメント」など幅広い。

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