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~ ビジネスと社会課題解決を両立させ、「らしさ」で競争優位を創り出す!待望の戦略メソッド ~
社会に喜ばれ、最も経営効率のよい「戦略的社会貢献」をご存知ですか?
それは、『ならではの』社会貢献活動、すなわち『自社らしさ』を発揮することです。
前回(第3回)、「事業活動×CSR×自社らしさ」の3要素を掛け合わせた、「CSRブランディング」の独自のフレームワーク(3つの輪の図)をご紹介しました。この図の赤と緑の重なった「1番」のゾーンが、自社らしい社会貢献活動です。これは、「自社らしさ」×「CSR(現代社会からの期待)」 を意味します。
CSRへの関心の高まりと共に、「持続可能な社会を実現するために、企業の社会貢献活動はどのような役割を担うべきか」という視点が定着しつつあります。経団連の定義では、「社会貢献とは、自発的に社会の課題に取り組み、直接の対価を求めることなく、資源や専門能力を投入し、その解決に貢献すること」とされています。
すなわち、企業は社会の一員であり、社会は企業の存立基盤なので、その社会が抱える課題に、自発的に経営資源を投入することが求められています。企業の社会貢献活動は、社会に付加価値を提供したり、地球環境保全や健全な社会づくり等に寄与することに加え、結果として企業側も様々な恩恵を受けます。社会的なリスクへの感度が高まり、社会からの信頼度や好感度が醸成されるとともに、社員の社会性が磨かれ、能力開発や士気の高揚につながります。
さらに、『自社らしさ』を活かしたプログラムが開発できれば、実は最も経営効率の良い社会貢献となります。つまり、単なる他社マネや横並びで、見よう見まねの不慣れな取り組みをすると、思わぬリスクに晒されることもあり得ます。海の者が不用意に山に登れば、高山病になるかもしれませんし、山の者がいきなり海へ飛び込めば、溺れるかもしれません。解決能力が未熟な分野での取り組みは、かえってリスクとなります。逆に、『売るほどある』商品・サービス、それにまつわる「餅は餅屋」の専門性・知見・ノウハウが投入されれば、最も経営資源が効率的に、安全に活用されることになります。
こうした観点は、金融機関や投資家等のステークホルダーから調達した資金を、責任を持って投入する企業にとって大変重要です。社会貢献活動は、企業の資源を社会に拠出する以上、ステークホルダーへの説明責任の観点から、情報開示が急速に進展してきています。企業理念やミッションとの整合性を担保し、得意技や伝家の宝刀による社会貢献を行い、結果として、コーポレートブランドや企業価値の向上につなげていくという骨太なストーリーを語りたいものです。
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それでは、「CSRブランディング」フレームワークに基づき、『本業の特色を活かした社会貢献活動』の事例をご紹介します。この図の赤と緑の重なった「1番」のゾーン、それは「自社らしさ」×「CSR(現代社会からの期待)」 を意味します。
【事例】
(1) 食品メーカー … 農業の支援と料理教室の開催
(2) 農業・建設機械メーカー … 耕作放棄地再生支援
(3) 宅配会社 … 高齢者の見守りサービス
(4) トイレタリーメーカー … 子供向け手洗い講座
(5) 精密機器メーカー … 写真文化の醸成を願い、未来を担う高校生たちの創造力や感受性をサポートすべく「写真甲子園」に協賛
このように、「らしさ」が統合された社会貢献活動は、基本的に直接の対価を得ることはありませんが、事後に「(格別の)ありがとう!」と「さすがだよね!」を獲得してきます。前者の社会から感謝されることは、昨今の自己実現を志向するビジネスパーソンにとって、金銭報酬に比肩する貴重な「非金銭報酬」といえます。モチベーションと自社へのロイヤルティにつながります。そして、後者の社会から一目置かれることは、社員のブランド意識に直結する「自信」や「誇り」がもたらされます。
まさに「CSRブランディング」の真骨頂です。

細田 悦弘 (ほそだ・えつひろ)
公益社団法人 日本マーケティング協会 「サステナブル・ブランディング講座」 講師 一般社団法人日本能率協会 主任講師
1982年 中央大学法学部卒業後、キヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン) 入社。営業からマーケティング部門を経て、宣伝部及びブランドマネジメントを担当後、CSR推進部長を経験。現在は、企業や教育・研修機関等での講演・講義と共に、企業ブランディングやサステナビリティ分野のコンサルティングに携わる。ブランドやサステナビリティに関する社内啓発活動や社内外でのセミナー講師の実績豊富。 聴き手の心に響く、楽しく奥深い「細田語録」を持ち味とし、理論や実践手法のわかりやすい解説・指導法に定評がある。 Sustainable Brands Japan(SB-J) コラムニスト、経営品質協議会認定セルフアセッサー、一般社団法人日本能率協会「新しい経営のあり方研究会」メンバー、土木学会「土木広報大賞」 選定委員。社内外のブランディング・CSR・サステナビリティのセミナー講師の実績多数。 ◎専門分野:サステナビリティ、ブランディング、コミュニケーション、メディア史 ◎著書 等: 「選ばれ続ける会社とは―サステナビリティ時代の企業ブランディング」(産業編集センター刊)、「企業ブランディングを実現するCSR」(産業編集センター刊)共著、公益社団法人日本監査役協会「月刊監査役」(2023年8月号) / 東洋経済・臨時増刊「CSR特集」(2008.2.20号)、一般社団法人日本能率協会「JMAマネジメント」(2013.10月号) / (2021.4月号)、環境会議「CSRコミュニケーション」(2010年秋号)、東洋経済・就職情報誌「GOTO」(2010年度版)、日経ブランディング(2006年12月号) 、 一般社団法人企業研究会「Business Research」(2019年7/8月号)、ウェブサイト「Sustainable Brands Japan」:連載コラム(2016.6~)など。