• コラム
  • 公開日:2016.09.29
  • 最終更新日: 2025.03.02
CSRのPDCAを回していくためには
    • 森 摂

    CSRのPDCAの回し方は各社各様です。統一した答えはありません。ただ、これから本格的にCSR活動に取り組みたいと考えておられる企業のために、オルタナ総研では「CSR/CSV 8つのステップ・27のポイント」というチェックリストを作成しました。下記の資料をご覧下さい。

    この資料で提示した「8つのステップ」は、PDCAのための7つのステップ+広報戦略を掲げました。ステップ1は「ソーシャル・ミッションとCSR部署のゴール」です。

    このうちポイント1「ソーシャル・ミッションの策定」と、ポイント2の「すでにある社是・理念との整合性」については前回コラムで述べた通りです。

    企業理念を持たない企業はないでしょうが、ソーシャル・ミッションを持っている企業はごく少数です。ソーシャル・ミッションはあくまで企業理念や企業ミッションの補完と位置づけ、社員に混乱がないようにすることが大切です。

    今回は「CSR専門部署としてのゴール設定」に焦点を当てます。

    前回コラムで「ミッションもKPIもないCSR活動はあり得ない」と書きましたが、まず第一歩はCSR担当部署そのもののミッションとゴールの設定が必須です。

    そのためには、まず現状把握をして下さい。CSRの社内浸透はどうか。経営陣はCSRを理解しているか。本業との連携はどうか。これらの現状を見極めたうえで、1年後、3年後、5年後に自社のCSRレベルはどこまで進めなければならないか。そのロードマップを描いた上で、ゴールを設定して下さい。

    これも企業によって状況はさまざまであり、こうしなければならないという定型的なゴールは存在しません。あくまで、自社の状況にあったゴール設定が求められるのです。

    そして、そのゴールを達成するにはどんなミッションが必要なのか、も描き出しましょう。その際、ミッションを決めるための作業の一つが、いわゆる「マテリアリティ」(重要度が高い社会的課題の抽出)です。この作業はじっくりやれば、さほど難しいものではありませんが、重要なのは、あまりたくさんの社会的課題を取り上げないことです。最初は少しずつのアプローチが有効です。

    同様に、CSR専門部署としてのKPIの設定も欠かせません。KPIは中期的に継続して計測することが重要ですので、少しずつKPIを増やしていくのが良いでしょう。

    具体的には、CSR社内イベント関係(参加者数、その満足度、リピート率)、CSRのEラーニング(参加者数、合格者数など)、NPOなど外部他者とのダイアログ関係(実施件数、対話カウンターパートの満足度、施策反映件数など)、社外との協働関係(件数、参加者数など)、CSRレポート関係(アンケート回収率、外部他者意見の投稿数)、CSRサイト関係(PV数、ユニークユーザー数、滞在時間、直帰率)--などが挙げられます。

    自社のCSR展開と自社のCSR担当部署の実情に合ったKPIを継続的に計測して下さい。

    written by

    森 摂(もり・せつ)

    株式会社オルタナ代表取締役社長・編集長。

    東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。訳書に、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの経営論「社員をサーフィンに行かせよう」(東洋経済新報社、2007年)がある。一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事。特定非営利活動法人在外ジャーナリスト協会理事長。

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