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すべての企業活動がそうであるように、企業のCSR活動にとってミッションやKPI(重要経営指標)は必須項目です。
まずミッションですが、どの会社にも社是・社訓や経営理念があるはずです。そしてその多くは社会的な要素を含んでいるはずです。例えばトヨタ自動車や松下電器産業(現・パナソニック)の創業時の社是には、「産業報国」という言葉がありました。産業を通じて、国の発展に寄与するという意味です。
ただ、これらの社是・社訓は、そのままでは若い社員たちに理解しにくい可能性があります。そこで、特にCSR活動についてのミッション(=ソーシャル・ミッション)の策定をお勧めします。
例えば、米高級百貨店ノードストロームのCSRページには、下記のような記述があります。
At Nordstrom, we strive to be an ethical company where people want to work and shop. Our corporate social responsibility (CSR) programs are our way of working toward this goal.
私たちノードストロームは、人々がそこで働きたい、買い物をしたいと思ってくれるようなエシカルな会社になるよう努力します。私たちのCSRプログラムとは、このゴールを達成するための、社員の働き方を指します。
実に分かりやすく、簡潔で力強い言葉です。こういう言葉であれば、若い社員や新入社員もよく理解してくれるはずです。
すでに社是・社訓や企業理念がある会社でも、そのソーシャルな機能を補えるような、「ソーシャル・ミッション」を新たに作り、「企業理念の補足」として社内浸透することが望ましいです。
KPIについては、これもどんな企業の業務管理において必須項目であるはずです。もちろん、これも他の業務と同様、[PDCA]を回していくことが前提になります。
これについては、次回で詳しくお伝えします。

森 摂(もり・せつ)
株式会社オルタナ代表取締役社長・編集長。
東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。訳書に、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの経営論「社員をサーフィンに行かせよう」(東洋経済新報社、2007年)がある。一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事。特定非営利活動法人在外ジャーナリスト協会理事長。