• 山岡 仁美
  • コラム
  • 公開日:2016.08.11
  • 最終更新日: 2025.03.02
第1回: 女性活躍推進による課題

    山岡 仁美(やまおか・ひとみ)

    今、日本では、超少子高齢化を迎え、それに伴う労働人口の減少という、国家でも経験の無い状況に直面しています。労働人口が減少するということは、より人的生産性をあげる必要があります。

    一人ひとりの従業員が能力を最大限に発揮できる組織のバックアップはもちろん、家事に専念している女性をビジネスパーソンとして活用すること、定年退職者を再雇用することが重要になります。

    ほかにも、障害者や外国人の能力及び労働力を活かしたり、短時間勤務者にも権限を与えたりするなど、人材を多様化する施策を講じるのは早急に取り組むべき課題といえます。

    言い換えれば、性別・年齢・国籍・雇用形態を問わず、すべての人材が最大限の力を発揮するような環境を提供し、組織の力を高める努力を怠っている企業は、将来の存続が危ういといって過言ではありません。つまり、ダイバーシティ推進が経営上の必須戦略であるというのは周知の事実です。

    「女性活性化」が「ダイバーシティ推進」ではない

    「多様な人材を取り込み、その人材が能力を最大限に発揮できることにより、企業も社会から正当な評価を受ける」という風土構築、というと重要課題のひとつとして挙がってくるのが、女性の活性化です。

    情報化・グローバル化・高学歴化・個々の価値観の醸成など、社会背景も含めて、女性の潜在能力は開眼の道を進み続けています。しかしながら、女性の活用には、結婚・育児・看護・介護など、慣習的な役割と切り離すことが難しいのが現実です。

    そこで多くの企業で取り組んでいるのが、男性の育児休暇取得奨励・看護介護休暇制度の導入・育児期間のフレックスまたは短時間勤務、などの制度面の充実を図り、尚且つ目標設定をした上で女性管理職を育成していくというプロセスです。

    確かに、施策としてのストーリー性も高く、成功すれば社会的認知度を上げることにも繋がるでしょう。しかし、その施策の推進にあたって、次のような大きな解釈違いを改める必要があります。

    (1) 男女が公平になる制度の見直しそのものが主軸になる
    (2) 女性には女性向きの仕事、という限定されたフィールドの中での育成に留まる
    (3) モチベーション、メンタルは結局本人次第

    これらは、日常の職場内や仕事を進めていく中でもありがちな、「先入観や固定観念など思い込みがある」「発想が乏しい」「視野が狭い」などがネックになっているということです。「女性だからこの業務の担当」「出産したらプロパーは難しい」「制度を整えたのだから利用するだろう」などの考えを、柔軟に発展的に変容しなくてはならないといえます。

    解釈の違いは男性だけでなく、女性にも見られます。女性は自分たちが活躍するために必要な環境を堂々と主張すべきでしょう。このような解釈違いによって、個々の潜在能力を見逃さないためにも、男性にも女性にも教育訓練や職場内での動機付けが欠かせません。

    しかしながら、女性を活性することがダイバーシティではありません。女性の活躍はダイバーシティ推進の一部にしか過ぎません。多くの企業では、「女性管理職比率を3割に増やす」「新卒女性の割合を5割にする」「育休取得率15%増」などといった数値目標を設定し、それを達成することだけをダイバーシティ推進活動としていますが、これは本来のダイバーシティ推進の意味を取り違えた考え方です。

    ダイバーシティが本来目指すところは「いかに多様性を活かす組織づくり」に取り組むのかであり、例えば単に女性管理職の数を増やしても「企業の発展を図ること」には到底およびません。

    企業における真のダイバーシティ活動とは、多様性が生み出す人々の考え方や価値観の違いをいかに経営に活かすかであり、ダイバーシティはすべてのビジネスパーソンに関わる課題であることを社内に浸透させる必要があります。

    個々を活かすことがダイバーシティの原理原則

    ダイバーシティ推進は、新規や大きなプロジェクトを進めることばかりではありません。

    例えば、身近な同僚・部下の行動パターンや性格を少し客観視してみましょう。自分のチーム内を見渡してみて、理屈っぽい・楽天的・猪突猛進・コツコツ堅実など、いろいろな特性が見えてくるはずです。こういった個々の行動特性や性格の違いをうまく活かせば、チーム独自の強みとなります。そしてそれは、組織にとって発展の源となるのです。

    written by

    山岡 仁美(やまおか・ひとみ)

    グロウス・カンパニー+ 代表取締役

    航空会社勤務を経て、人材派遣会社の研修企画担当に。その後、人材育成への意欲から、大手メーカー系列のコンサルティング会社に移り、人材育成に関する開発・販促・広報などのマネジャー職から企業研修部門の統括部長までを務める。1000社ほどのコンサルに携わった後、独立。ビジネスフィールドの豊富なキャリアで様々な人材や組織づくりと関わり続け、自身の出産・育児との両立での管理職・起業などの経験から、多様性を活かす着眼点が持ち味である。 コンサルタント、研修講師、講演と多方面で活躍中。そのテーマは「課題解決」「リーダーシップ」「アサーション」「ネゴシエーション」「キャリアデザイン」「ダイバーシティ」「リスクマネジメント」など幅広い。

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