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  • 公開日:2016.08.02
  • 最終更新日: 2025.03.21
ゴールドマンや丸紅など企業が介護離職防止策を強化
    • 環境ライター・箕輪 弥生

    きめ細かい介護支援が企業にも求められている

    大手企業が、社員の介護離職の防止に動き始めた。ゴールドマン・サックス日本法人は、昨年から社員の家族1人当たり年間100時間分の介護サービス費の全額負担を始めた。丸紅もNPO法人と契約し、海外赴任中の家族の介護、通院付き添いなどを支援。介護離職者は年間10万人に達し、大半は管理職クラスであるため、企業も人的リソースを守ろうと支援策を強化している。

    介護離職は企業にとっても大きな問題になりつつある。介護離職者は40代~50代が多く、企業の中核を担う年代と重なる。そのため、企業独自の介護支援制度を設ける企業が出てきた。

    米投資銀行ゴールドマン・サックス日本法人は、昨年より、家族1名に対して年間100時間までの介護サービス費用を会社が全額負担する制度を導入した。全国で事業展開するニチイ学館(東京・千代田)を利用することで遠方に住む親の介護にも利用できる。

    導入した理由について同社コーポレート・コミュニケーションズ松本弘子ヴァイス・プレジデントは、「男女問わず負担が発生しうる介護支援に対する社員のニーズが高まっていた」ことをあげ、「介護を行う社員の負担を軽減し、優秀な社員が長く働き続けられるような環境作りをしたかった」と説明する。

    現在、十数人の社員が同制度を利用し、「介護認定がなくても利用でき、介護保険ではカバーされない家事代行や病院への付き添いサービスが利用できるため、利用者の満足度が高い」(松本氏)とする。

    丸紅は、介護サポートを専門とするNPO法人「海を越えるケアの手」(東京・中央)と契約し、海外赴任中の両親の介護、通院付き添い、必要な手配などを社員に代わって支援する制度を2010年から導入、現在は対象者を社員全体に広げた。

    国は来年度から要介護1、2の認定者が受ける生活援助サービスは原則自己負担へと見直す方針を固めた。今後は企業にも、介護休業制度だけでなく、きめ細かい介護支援の充実が求められそうだ。

    written by

    箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

    環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。

    東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。 著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。JFEJ(日本環境ジャーナリストの会)会員。 http://gogreen.hippy.jp/

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