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  • 公開日:2025.03.12
  • 最終更新日: 2025.03.28
イノベーションに必要な新しいデザインの視点とは?――東京・丸の内で「視点の拡張譜 未来に響くデザインの記録」開催中

    18日から開催される「サステナブル・ブランド国際会議 2025東京・丸の内」に合わせて、“サステナビリティ×デザイン”の展覧会が、GOOD DESIGN Marunouchiで開かれている。開催3回目を迎えた今回は、「視点の拡張譜 未来に響くデザインの記録」と題して、デザインのイノベーションに必要な新しい視点と、その先の未来の可能性を提示する14の事例を紹介。アッパー部分を単一素材にすることでリサイクルを可能にしたアシックスのランニングシューズや、空気を使わないブリヂストンのタイヤなど、自由な発想から生まれたさまざまな取り組み・技術を展示している。(松島香織)

    SB国際会議に合わせて開催される“サステナビリティ×デザイン”の展覧会は、今回3回目を迎えた。第1回の展覧会から担当し、今回もテーマ設定やクリエイティブディレクションを担った博展サステナビリティ推進部サーキュラーデザインルーム ルーム長の鈴木亮介氏は、「どの回のテーマも自分が知らなかった素晴らしい取り組みが多く、発見できる楽しみがあった。展示会を重ねるごとに情報のインプット・アウトプットがすごくできていると感じる」と手応えを語る。

    今回は「SB国際会議 2025東京・丸の内」のテーマ「Breakthrough in REGENERATION」に合わせて、イノベーションやブレイクスルーをキーワードに、社会にポジティブな変化をもたらす取り組み事例を集めた。展示会タイトルの「視点の拡張譜」には、「譜(スコア)」という言葉に「記録」という意味が込められているという。会場には新たな資源や素材、それらの特性を生かした製作プロセス、循環を意識した使い方や持続可能な社会を支える仕組み、コミュニティとの協働によって生まれたデザインなどが並んだ。

    左側「NIMBUS MIRAI」(アシックス)、中央が「SOLAMENT®」(住友金属鉱山)素材のジャケット
    手前のプロダクトは「Sumika-炭を継ぐ」(ExtraBold)。CO2を吸収した炭を混ぜ込んだ樹脂素材だ

    紹介事例の中で、特に傾向として現れたのが「3D」技術の活用だ。鈴木氏は「アイデアを形にできる技術として出て来たもの。素材の自由度に幅があり無駄がなく、サステナビリティと相性がいい技術だと思うので、それがうまくかみ合ったのではないか」と説明する。

    バイオミミクリーも取り入れた「ホタメット」(甲子化学工業)
    「超小集電/MICROPOWER CELL」(トライポッド・デザイン)

    展示の中で特に鈴木氏が“推す”のが、トライポッド・デザインの土や植物などから微小な電気を収集する「超小集電/MICROPOWER CELL」と、住友金属鉱山の太陽光から発熱する素材「SOLAMENT®」だ。例えば、電気が通っていないようなイベント開催地でも「超小集電」技術を用いてイルミネーションを並べたり、「SOLAMENT®」では会場内の暖房設備の代替品として、環境負荷をかけずに部屋を暖めたりすることができる。自社事業に引き付けて鈴木氏は「この技術で、感動体験をつくるイベントの可能性が大きく変わる」と考えているという。

    展示する取り組みや技術ばかりでなく、会場の設計にもサステナビリティの観点を取り入れている。これまでは、板材を使用すると「3×6(サブロク約900×1800センチ)」「4×8(シハチ約1200×2400センチ)」とサイズが決まっているため、展示台などの製作にどうしても端材が出てしまっていた。鈴木氏のチームでは、この端材を出さないデザインを考えてアプローチ。昨年同社で導入された大型のレーザーカッターを活用し、精密な加工を施した展示台を製作した。

    サーキュラーデザインを基に製作された展示台

    丸く切り抜いた部分やその周りのひし形をそれぞれパーツにすることで、端材を出さずに板材をすべて利用。またレーザーなので、木粉もほとんど出ない。丸いパーツとひし形のパーツは切り込みで組んでいるので、またバラバラのパーツに分解ができ、ほかのイベントでも利用が可能だ。

    鈴木氏は「デザインやサステナビリティに関心がある人だけでなく、いろんな人が、身の回りのものにこんなに可能性があるのだと感じることができる展示。来ていただいた来場者の方の新しい視点の参考や学びになれば」と期待を込めて話した。

    初日に来場した、建築を勉強している学生は、デザインの展示らしいのでふらっと立ち寄ったという。「自然の形を模倣していて面白いし、環境に配慮した素材だというのもいいと思う」と、廃棄されるホタテの貝殻を素材として、貝殻の波模様を模したヘルメット「ホタメット」などに触れ、展示物を熱心に見ていた。

    本展覧会は20日まで。なお19日には、「未来に響くデザインの視点」と題したトークセッションを開催する。各社の担当者が登壇し、展示内容についての詳細説明や「デザインの適応」をキーワードにトークを展開する予定だ。詳細はhttps://sb-os25-8-design.peatix.com/

    「視点の拡張譜 未来に響くデザインの記録」
    会期:2025年3月7日(金) ~20日(木) 11:00-20:00
    会場:GOOD DESIGN Marunouchi
       東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1F
    ​   https://marunouchi.g-mark.org/
    参加:入場無料
    主催:サステナブル・ブランド ジャパン(運営:株式会社 博展)
    協力:公益財団法人日本デザイン振興会
    プロデュース・企画デザイン・制作:HAKUTEN

    3月18日(火) および19日(水) に本イベントにご参加いただいた方には、特別に、3月19日(水) 13:30~18:45の時間帯に「サステナブル・ブランド国際会議 2025東京・丸の内」のActivation Hubにご入場いただけるパス引換券をプレゼントします。会場受付でお受け取りください。

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