![]() 成果報告会で発表するスマイルスタイルの古市邦人理事
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三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)は12月15日、2016年度「ソーシャルビジネス支援プログラム」の成果報告会を開いた。同社は既卒就活を支援するNPOなど3団体に対し、資金的支援のほか、仕事のスキルや経験を生かして社会貢献をするボランティア活動「プロボノ」を6カ月間にわたり実施。MURCからは31人が参加した。2013年からプログラムを継続し、今後も積極的に推進していく。
2016年度の支援先は、一般社団法人サステナビリティ・エンパワーメント(千葉県柏市)と特定非営利活動法人Chance For All(東京・墨田)の共同プログラム、特定非営利活動法人スマイルスタイル(大阪市)、特定非営利活動法人人と動物の共生センター(岐阜市)の3件だ。
支援先は一般から応募を募り、書類選考を経てプレゼンテーション選考会で決定。MURCの役職員が「支援票」と「共感票」を投票した。
「支援票」とは、プロボノ支援を希望する役職員による投票で、5票以上を獲得した上位3団体が支援先として選ばれる。投票者による「プロボノチーム」が組成されるほか、資金的支援として1団体に50万円が授与される。すべての役職員による「共感票」は、プレゼン大会に参加した全6団体を対象とし、投票数に応じて総額100万円が分配される仕組みだ。
既卒就活生向け「縁就活」
支援先の一つ、スマイルスタイルは「縁就活」を掲げ、就職支援プログラムを展開している。就職が決まっていない既卒就活生や第二新卒者を対象に、大阪府が発行する「関西優良中小企業就活ガイド」の掲載企業とのマッチングを行う。
スマイルスタイルの古市邦人理事は、「この時期になると、大学の就職センターは大学3年生の就職活動支援に移行し、卒業が迫る大学4年生に対する支援が手薄になってしまう。民間の就職支援サービスを利用できず、福祉の対象でもなく、支援を受けられない人たちは一定数いる」と指摘する。
そこで、同団体は1カ月の集中プログラム「縁就活スクール」やスポット講座などを実施し、就職活動を支援する。2015年度は122人の就職が実現した。
ソーシャルビジネス支援プログラムでは、全体ミーティングのほか、「利用者」「大学」「企業」の3チームに分かれて、それぞれの立場から縁就活の価値の見直しを行った。
古市理事は、「受益者負担にできず、収益化が難しいビジネスモデルで、あせる気持ちもあった。『理想のプログラムとして突き抜けてもいいのではないか』というアドバイスを受けて、改めて価値を感じることできた。就職活動に課題を抱える人たちの支援に力を入れていきたい」と語った。
プロボノに参加した職員からは、「とても楽しかった」「同じ世代で熱心に働いている姿に勇気付けられた」といった声が聞かれた。
吉田 広子(よしだ・ひろこ)
株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長
大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。 「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。