フランスのオーガニック専門店「ビオセボン」がイオンと提携し、日本で店舗展開することになった。月に2店出店という急速な多店舗展開を進める、仏オーガニック専門店の新星だ。取り扱い商品はほぼ100%オーガニックという「ビオセボン」とはどういう会社なのか、日本でどのような商品戦略を進めるのか。エロディ・アベカシス・マーケティング部長に聞いた。(羽生のり子)
「オーガニックはおいしい」という意味の「ビオセボン」は2008年創立のオーガニック専門店。親会社は不動産会社「マルヌ・エ・フィナンス」で、ティエリー・シュラキ氏が両社の社長だ。
フランス国内に約90店、イタリア、スイス、ベルギー、スペインに約11店ある。現在、月に2店のスピードで開店している。すべて直営店だ。売上高は非公開。従業員数も非公開だが、2015年8月の時点で501-1000人規模だった。
取扱品目は約6000。主に食品で、生鮮野菜果物、肉、チーズ、菓子、穀物、魚、ワインなど、あらゆるものが揃う。化粧品とサプリメント、洗剤も扱っている。価格は専門店としては平均的だ。
アベカシス・マーケティング部長は「オーガニックが存在しない海藻類などを除き、ほぼ全製品にオーガニック認証がついている。野菜果物は直接農家から買い付けている。毎週中身が違う、野菜果物3キロで10ユーロのお任せパックが、価格も手ごろで好評」と説明する。
ビオセボンの特徴は、きめ細かい顧客サービスにある。試食できる商品がいつもある。なじみのない野菜果物の説明や、これらの食材を使ったレシピを置いている。会員になると、ポイントカードを集めて10ユーロ相当の商品がもらえたり、バカンスの時に家にある植物を店で預かってもらえたりする。
食事療法やハーブに詳しい自然療法の専門家が店内にいて、30分間の健康相談を無料で受けられる。アベカシス部長は「商品の種類の多さ、手ごろな値段、わかりやすい商品説明、店が地域に根付いている点が気に入っているという顧客が多い」と言う。SNSで見る一般の評価はかなり高い「量り売りの穀物コーナーが良い」、「値段が妥当」という顧客もいる。
店内は非常に清潔だ。緑と黒を基調にしたデザインで、農場をイメージさせる羊のキャラクターが目を引く。「日本に出す店は、「ビオセボン」のコンセプトそのままで、加工品は全部フランスから輸入する。
野菜や果物は、日本で調達できない場合は近隣のアジア諸国からの輸入を考えている」とアベカシス部長。「ビオセボン」が出店すると、日本のオーガニック市場が大きく変わる可能性がある。