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  • 公開日:2017.08.01
  • 最終更新日: 2025.03.21
サステナブルな暮らしの実践でSDGs達成目指す
    • 小松遥香

    Photo:Nils Stahl

    環境パートナーシップ会議(東京・渋谷)が主催するビジネスセミナー「SDGsとサステナブルな暮らし――実践と普及に向けて」が7月28日、有楽町の東京国際フォーラムで開催された。SDGs(持続可能な開発目標)を推進する国連や環境省、企業、消費者を代表するスピーカーが登壇し、食や消費など暮らしの視点から、日本のSDGsへの取り組みの現状や課題について議論が行われた。(オルタナ編集部=小松 遥香)

    同セミナーは、オーガニックフォーラムジャパン(東京・中央)が開催する第2回オーラニックライフスタイルEXPOの一環で実施された。

    SDGs達成は足元のアクションから

    根本かおる・国連広報センター所長

    国連広報センター(UNIC)の根本かおる所長は、SDGsの達成について「淡々と積み上げ式でやっていけば良いものではなく、大胆で変革的な発想を持って、達成のためにいつまでに何をしなければいけないかを考える必要がある。変革的というのは、産業革命や奴隷解放などに匹敵するパラダイムシフトのことだ」と話した。

    SDGsの進捗については、「企業は今、事業とSDGsを照らし合わせてマッピングを行うという段階から、次の段階に進もうとしているところだ」と見解を示した。また、SDGsは国内の格差問題や女性活躍推進なども含まれている国内課題そのものであり、日本人一人ひとりの生活の足元に関わることだとした。

    「足元のアクションなくして世界の課題解決はできない。行動を起こすことで、誰もがチェンジメーカーになり得る」と根本所長は強調した。

    ベン&ジェリーズが目指す「共存共栄」のためのサステナブルなビジネス

    ベン&ジェリーズの溝越えりかアシスタントブランドマネージャー

    企業事例としては、ユニリーバのアイスクリームブランドで、全ての原料をフェアトレードで調達している「ベン&ジェリーズ」の取り組みが紹介された。

    登壇した溝越えりか・アシスタントブランドマネージャーは、同ブランドの企業理念「共存共栄」の3つの柱について説明。一つは、安心・安全で環境に配慮した製品づくりを行うこと。そして、従業員をはじめとするステークホルダーにとっての企業価値を高めること。三つ目は、社会の中で企業が果たすべき役割を積極的に担うというものだ。

    企業の社会的責任として、同ブランドは政治参加を促すために、選挙に行った人に無料でアイスを提供するキャンペーンなどを行うことでも知られている。最近の取り組みとして、自然エネルギーの利用を促進する「パワーシフト・キャンペーン」が紹介された。

    同ブランドは、気候変動を環境問題だけではなく、ぜい弱な国や人に負荷がかかる社会の不公平や人権問題でもあると考える。キャンペーンでは、地球のサステナビリティ(持続可能性)のために電気を選ぶことの重要性を考えて貰うために、自然エネルギーで発電している携帯電話用の充電装置を、店舗に訪れたお客さんに使用して貰うというものだ。

    消費者の責任の前に、サステナブルな選択のための情報提供を

    古谷由紀子・サステナビリティ消費者会議代表

    サステナビリティ消費者会議の古谷由紀子代表は、SDGsの目標12「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」について、消費者の権利と役割に対する理解が不十分ではないかと疑問を呈した。

    「消費者の行動変化に期待をしているが、そもそも企業や政府などは消費者の実態を十分に理解しているのか。消費者は、市場から影響を受ける存在だ。さらに、生産と消費は一体であり、消費だけの問題として捉えず、課題解決を行うことが不可欠だ」と語りかけた。

    そして、消費者が役割を果たすには、「何が社会課題なのか情報提供を行うこと」、「行動をするための方法・商品等の提供」、「企業による情報虚偽や不公正な企業行動による阻害を回避すること」などの環境整備が必要となると説明した。

    徳江倫明・オーガニックフォーラムジャパン代表理事

    コメンテーターとして登壇した森 摂・オルタナ編集長は、「SDGsはやらないと罰せられるというものではない。しかし企業経営の観点から見ると、本業が社会の変化についていけなくなるリスクがある。対応しなければ、企業の存続に関わるソフトローだ」と話した。

    徳江倫明・オーガニックフォーラムジャパン代表理事は、「人々の暮らし(ライフスタイル)とSDGsは結びついている。暮らし全般に関わる、企業や消費者が連携を広げていくことでSDGsの達成に近づく。SDGsという目標のもとで、人と人が結び付いていくきっかけになる」と話した。

    SB-Jの取材に対し、吉本興業と連携するなど独自の広報戦略を打ち出している、根本かおる・国連広報センター所長は「日本を代表する経営者の間にもSDGsが浸透し始めている。2017年はSDGsの節目の年だと考え、推進に取り組んできた。まだまだ最初の段階ではあるが、浸透に手ごたえを感じきている。これからだ」と語った。

    written by

    小松 遥香(こまつ・はるか)

    オルタナ編集部

    アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。

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