![]() 写真家の稲田美織さん(1月13日、都内のギャラリーで)
|
三重県伊勢市にある伊勢神宮は、太陽に例えられる天照大御神を祀る内宮や、衣食住や産業の守り神である豊受大御神を祀る外宮など、125の宮社がある日本有数の神社だ。20年に一度、社殿などを全て新しくする『式年遷宮』があり、最近では2013年に62回目の遷宮が行われた。2000年の歴史があると言われる神宮の魅力に惹きつけられた写真家の稲田美織さんが、都内で「伊勢神宮『式年遷宮』とサステナビリティ」展を開催した。(オルタナ編集部=松島 香織)
濃紺の空に浮かぶ月、光に溢れ瑞々しい緑など、伊勢神宮の凛として美しい景色を切り取った写真が並ぶ。稲田さんは、「人間が自然に寄り添う究極の姿だと思いました。人は自然を守っているのではなく、自然に生かされていると思う。その調和の美しさに心奪われました」と伊勢神宮の魅力を語った。
NYの街並や、アメリカの自然を撮影していた稲田さんは、2001年にNYの自宅アパートからテロを目撃して大きなショックを受けた。以来、世界中の聖地を巡礼し撮影していたが、伊勢神宮に出会い14年間撮影し、「調和の哲学」を学んだ。アメリカ同時多発テロ事件のような悲劇を繰り返してはいけないと思い、2016年5月の伊勢志摩サミットで、神宮の写真集を英訳して配った。
『式年遷宮』は、8年前から33の祭りと行事をかけて行う。地元住民をはじめ、全国から人が駆けつけ、社殿の木材を曳き入れたり、敷地に敷きつめる玉石を河原で集めたりする。『式年遷宮』に関わることで、古代からの精神性や心技のすべてが、次世代へ継承されている。
「『式年遷宮』は1300年間続けられてきました。その仕組みにより、自然の摂理に従うよう、あらゆるものが循環しているのです。それは、すべて未来につながるものでした。伊勢神宮には真の永遠が存在していました」と稲田さんは話した。
松島 香織(まつしま・かおり)
サステナブルブランド・ジャパン ニュースサイトの立ち上げメンバーとして参画。その後2022年12月から2025年3月まで、デスク(記者、編集)を務める。